フランス語

映画「アメリ」終盤に出てくるフランス語の諺7つ

クレーム・ブリュレを割るシーンで有名なフランス映画・アメリ。今回は本作に登場する「フランス語の諺」についてまとめていきたいと思います。

映画の終盤、主人公アメリの同僚・ジーナが、ニノにことわざ問題を出し次々に答えていくシーン。

こちらのシーンに持ち出されていた諺を見ていきましょう。

Une hirondelle ne fait pas le printemps.

Une hirondelle ne fait pas le printemps.

ツバメが一羽現れただけで春にはならない。

(一つの例から結論を導くことはできない。早合点。)

文面通りに見ると「一羽のツバメは春を成さない」、「ツバメが一羽現れただけで春にはならない」と取れますが、諺としては「一つの例から結論を導くことはできない」という意味です。

ツバメは渡り鳥なので、9月から10月にかけてはアフリカへ発ち、3月〜4月頃にフランスに戻ってきます。

そのため、フランスではツバメの姿は春の訪れの印なんだとか。

調べてみると英語にも“One swallow doesn’t make a summer.”(ツバメが一羽現れただけでにはならない)という似たような諺がありました。

フランスと違って、イギリスではツバメ=夏の象徴なんですね!

その他ドイツ・オランダ・デンマーク・スペイン・ポルトガル・ロシア・イタリアなど…ヨーロッパのあらゆる言語に「ツバメが一羽現れただけで(春/夏)にはならない」という諺があるそうです。

ヨーロッパのほぼ全土で使われているんですね。

L’habit ne fait pas le moine.

L’habit ne fait pas le moine.

服が修道士を作るわけではない

(人は見かけによらない)

文面通りに受け止めると、L’habit(服)が修道士(le moine)を作るわけではない、という解釈ができます。

諺としては「人は見かけによらない」「見かけはあてにならない」という意味で、起源を調べてみると13世紀、ラテン語から引用されたものではないかと推測されているようです。

上記のサイトを参考してみたところ、一説ではラテン語barba non facit philosophum (髭は哲学者を作らない※)に由来しているのではないかとも云われているんだとか。

※フランス語に直すと’la barbe ne fait pas le philosophe‘.

一方で、「史実からできたことわざ」という説もあります。

こちらの説によると、フランソワ・グリマルディとその仲間がモナコの要塞を得るためフランシスコ会の修道士に扮した侵入策略に由来しているのではないかと云われているそう。

À bon chat bon rat.

À bon chat bon rat.

たいした猫にたいした鼠

(敵もさるもの)

よい猫によい鼠…わかるようで分からないような。

北鎌フランス語講座さんのページを参照にしてみると、このような解説を発見しました。

猫が鼠をつかまえようとしたところ、思わぬ反撃にあい、いったん攻撃を見合わせているような状況からの比喩です。

(出典:「北鎌フランス語講座 – ことわざ編 I-1 – 北鎌フランス語講座 – ことわざ編」)

あっ、つまりトム&ジェリーみたいな状態ってことでしょうかね?
ちなみに英語ではTwo can play at that gameと言うようです

Petit à petit, l’oiseau fait son nid.

Petit à petit, l’oiseau fait son nid.

鳥は巣を少しづつ作る

(千里の道も一歩から、塵も積もれば山となる)

これは結構「塵も積もれば山となる」と似たような感覚で、イメージしやすい諺ですよね。

一つづつ木の枝を重ねて巣を作る鳥を思い浮かべると、かなりイメージとしては似てるような。

英語の諺でも類似表現はあるのか?調べてみたところ、こんな英訳がありました。

Every little bit helps

どんな欠片も役に立つ

(出典:Anglaisfacile.com

Little strokes fell great oaks

小さい打撃も大きなオークを倒す

(出典:bab.la

With time and effort you achieve your goals

時間と努力が功を成す

(出典:bab.la

いずれも例え方がフランス語のものとだいぶ異なるので、巣作りの様子を用いた“Petit à petit, l’oiseau fait son nid”はフランス語特有の表現なのかもしれません。

Pierre qui roule n’amasse pas mousse.

Pierre qui roule n’amasse pas mousse.

転ぶ石は苔をむさない、転石苔むさず

(安定した人生を送らない人は財を成さない)

「石=人」「苔=財産」に例えられていることわざで、「職業をころころ変える『転がる石のような職業人生の人』は財産を貯められない」という意味です。

昔のフランスでも日本と同じく、一つの職業を長く続けることが成功する方法である、キャリアの理想的な姿である、と考えられていたのかもしれません。

ことあるごとに君が代を歌って育った日本人からすると「石に苔が生す」状態にたどり着くまで、相当長い時間が要されるように感じますが…

フランス人にとって「苔が生すまで」ってどのくらいの時間感覚なんでしょうか?

こればっかりはフランス人に聞いてみないと分からないですね。

Qui vole un oeuf vole un boeuf.

Qui vole un oeuf vole un boeuf.

卵を盗む者は牛も盗む

(嘘つきは泥棒のはじまり)

こちらは割とわかりやすい物の例えですね。

日本語の「嘘つきは泥棒のはじまり」と同様、小さい悪事を働く者はいずれ大きな悪事に手を染める、といったニュアンスです。

英語でも針と車・卵と牛などを例えにした類似のことわざがありました。

“He that will steal (a pin / an egg), will steal (everything / an ox).”

(針/卵)を盗む者は(なんでも/牛を)盗む

(参考:bab.la

Coeur qui soupire n’a pas ce qu’il désire.

Coeur qui soupire n’a pas ce qu’il désire.

望むものを得ていない心はため息をつくものだ

“soupirer”には「ため息をつく」という意味、男性名詞の”le coeur”には「胸部・心臓・本心・気持ち」なんて意味があります。

映画では「火のない所に煙は立たない」と訳されています。

ため息は理由も無しに出るものではない、ため息が出るには理由がある、という意図かもしれません。

うーん、中々使い所が分からないことわざですよね。
ため息ついてる美女が居たときの口説き文句にでも作られたのかも。笑

まとめ

今回は、映画「アメリ」に登場する諺についてでした。

ジーナが「諺を知る者に悪人はいない」と言うように、諺を知っていると教養がありそうな人に見えます。

一見使い所が無さそうな諺も、覚えておくといつか役に立つ日がくるかもしれませんね。

ABOUT ME
佐藤ユカ
立教大学19年卒(異文化コミュニケーション)。 副専攻にフランス語。 ベルギーの大学院に受かったけど資金準備が間に合わず、今は派遣社員とブロガーやっています。 内容は大学生~20代の仕事・恋愛・コミュニケーション全般について。 趣味は酒とダイエットです。