ワインエキスパートの二次試験では白ワイン2種類、赤ワイン2種類、その他の酒類1種類のテイスティングを行います。
都内のワインスクール等では二次試験用の対策講座も開かれていますが、地方在住だったり、なるべく出費を抑えて対策したい方は、独学での試験対策を検討されているのではないでしょうか。
「独学で二次試験も通過できるんだろうか」と不安になるかもしれません。筆者は二次試験の準備を独学かつ、9月初旬という遅いスタートで進めていたため、自己流の対策で合格できるのか本当に心配でした。
しかし、本番では品種を2つ、収穫年を1つ、生産国を1つ当て、合格ラインギリギリではあったかもしれませんが何とか合格できました。
そこで本記事では、主に自分の受験体験をもとに、二次試験の概要や、独学の際に必要な道具のほか、効果があったと思う対策方法をまとめておきたいと思います。
自分のように独学でワインエキスパートの突破を目指している方に読んでもらえるとうれしいです。
コンテンツ
二次試験の概要
この項目では、二次試験の試験形式や合格率、試験会場についてまとめます。
試験形式
ワインエキスパートの二次試験では、赤ワインと白ワインを2種類づつ、その他の酒類を1種類テイスティングし、回答を記入していきます。
制限時間は50分で、回答はマークシート形式の用紙に記入します。
ワインについては「外観」「香り」「味わい」「評価」「適正温度」「グラス」「デカンタージュ」「収穫年」「生産地」「主なブドウ品種」といった項目ごとにマークシート記入をしていきます。
その他の酒類については、あらかじめ回答用紙に4,5種類程度の選択肢が用意されているので、その中から正しいと思われる銘柄を選びます。
合格率と合格ラインについて
ソムリエ協会から二次試験の合格率は公表されていませんが、多くの受験情報サイトや掲示板上では7割〜8割程度とも言われています。
試験当日の環境(2020年度東京会場)
ワインエキスパート試験の2次試験は、ホテルなどの施設で行われます。
私が受験した東京の会場では、受験番号ごとに部屋がいくつかに分かれているため、会場に到着してまず部屋と座席の場所を確認しました。
部屋や座席のは掲示板で確認できるのですが、会場が広いほか、人も多く確認に手間取ったので早めに到着して良かったです。
独学での二次対策用に準備したもの
独学で2次試験の対策を進める際、「ISO(国際標準化機構)グラス」のほか、模擬のコメントシートや、基本的な品種・生産国のワインが最低限必要になります。
この項目では、2次試験の対策を行うにあたり役立ったものを紹介します。
ISO(国際標準化機構)グラス
ISOグラスは、テイスティングの準備を進めるのに必須のアイテムです。
ISOグラスはさまざまな種類のワインを平等な条件下で評価するために作られたもので、二次試験当日もこのグラスを使ってテイスティングすることになります。
私は最初ケチって少し安いグラスを買おうとしてしまったのですが、今思い出すとそれは 論外の選択でした。笑
グラスが変わるとワインの色や香り、涙の立ち方といったところも変わって見えますから、グラスは絶対にISOグラスにしましょう!!
テイスティングの模範回答・模擬解答シート
二次試験では、あらかじめ用意された選択肢の中から、香りや外観のコメントを記入していきます。
コメントを記入する際、個人の感覚に基づいて選択肢を選ぶとめちゃくちゃな回答になってしまいますので、はじめは重め・軽めの赤ワインと白ワインごとに模範解答を覚えます。
ワイン講師さんやソムリエさんがテイスティングの回答例や模擬の回答シートを公開していることがあるので、グーグル検索などで主な品種の回答例を探し、そちらを最初は書き写しながらテイスティングシートの記入に慣れます。
試験対策用ワイン
ワインエキスパートの二次試験にはいろいろなワインが出題されますが、
- カベルネ・ソービニョン
- シラー(シラーズ)
- ピノ・ノワール
- リースリング
- ソービニョン・ブラン
- シャルドネ
これらの6種類は絶対に品種を判定できるようになった方が良いと言われています。
上記の品種の中にはドイツ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドやチリなどフランス以外で作られているものもあり、試験にはフランス以外のワインも出されるので新世界・旧世界の主要国の違いも分かると安心です。
6品種のワインを新世界・旧世界合わせて揃えると12本以上購入することになるのですが、やっぱり飲み比べないことには違いが分からないので、ここは思い切って購入したいところです。
なお、ワインの購入時にネットショップを頼ると2〜4万円程度で済みました。とにかく安く対策したい人には、ネットショップおすすめです。
もし飲み比べ用にどんなワインを選んだらいいか分からない場合、少し高くはなりますがエノテカやデパートのワイン売り場などで「ワインエキスパートの準備をしてるんですが」と言うと適当なワインを紹介してくれます。
二次試験の対策方法
筆者の場合、まずはマークシートの模範回答例を品種ごとに一通り覚えました。
まずはフランスのワインで主な品種の区別がつくように練習し、次は新世界のワインを混ぜて生産地の区別もつくようにしました。
模範解答を覚える
グーグル検索などで「テイスティングコメント 模範解答 <品種名>」「<品種名> 模範解答」といったキーワードを使って検索すると、ワイン講師やソムリエの方が公開しているテイスティングの解答例などが見つかります。
まずはこうしたリソースを参考に品種と対応する模範回答の内容を覚え、試験前には何も見ないで回答の内容を思い出せるようにしました。
品種・国の特徴を覚える
模範解答の暗記が一通り終わったら、テイスティング対策用に購入したワインを使って、品種の特徴を覚えていきました。
まずはフランスのワインで品種の区別がつくように練習。品種の区別がある程度つけられるようになったら、次はフランスのワインの中に新世界のワインを混ぜ、生産地の特徴をさぐります。
同じ品種でも生産地が異なるだけで香りや外観がけっこう異なるのですが、新世界については全部の国をやっている時間はないので
シラーならオーストラリア、リースリングはドイツ、ピノ・ノワールはニュージーランドなど、有名な産地のものだけを覚えておきました。
慣れてきたらブラインドテイスティング
都内にはブラインドテイスティングができるバーが色々とあります。
お店でのブラインドテイスティングは一回3,000円~5,000円程度かかるため頻繁に通うのは難しく、筆者は試験の1週間〜2週間前に一度だけ行きました。
お店は吉祥寺にある「エノテカ吉祥寺店」という所だったのですが、なんと1回1,600円程度でブラインドテイステングができました。
お店にもよりますが、ブラインドテイスティングでは馴染みのない品種や生産地のワインが出てきたりすることもあるので、良い勉強にもなります。
なお地方在住の場合、なかなか近所にワインのブラインドテイスティングができるバーはないと思います。その場合、友人やご家族に家にあるワインをシャッフルしてもらう等で手伝ってもらうと良いかもしれません。
その他の酒類について
ワインエキスパートには、白ワイン2種類、赤ワイン2種類のほか、その他の酒類として教本で取り上げられていたワイン以外のお酒も出題されます。
出題範囲はかなり広く、教本で取り上げられていた酒精強化ワイン、リキュール、日本酒、焼酎、中国のお酒などが出題される可能性があります。
- シェリー
- マデイラ
- ポート
- コニャック
- アルマニャック
- リキュール(ドランブイ、シャルトリューズ、ベネディクティン等)
- 日本酒
- 焼酎
- 泡盛
- 梅酒
とはいえ出題される可能性があるお酒を全て購入したり、バーで飲み比べたりすると相当の費用がかかります。
そのため筆者の場合、その他の酒類については「結局は普段の飲酒経験がモノをいう」科目だと割り切り、あまり大した対策はしませんでした。
まとめ
手元にある教材やノートを使って済む座学と異なり、ほとんどの人がはじめて挑戦するテイスティングに不安を感じることもあるのではないでしょうか。
とはいえマークシート式で記入するワインエキスパートのテイスティングは、コメントの模範回答と基本的な品種・産地の特徴を覚えれば大抵の場合対処できます。
現に全くのワイン初心者だった私は一次試験に合格した9月頭ごろから準備をはじめ不安でしたが、毎晩コツコツ飲んだためか(笑)無事、独学でも合格できました。
試験を受ける方の中には時間がない・そもそもワインの飲酒経験が少ないという方もいると思いますが、私は上記の体験からも、要点を絞って着実に取り組んでいくことが合格につながったのではないかと思っています。
独学での勉強は自分の成長の伸びが感じづらく大変ですが、資格取得までのあと一歩、コツコツ頑張ってみましょう!